遅い帰り

玄関のドアを開けると、もう灯は消えていて彼は先に寝たようだった。さっき飲んだ赤ワインのせいで少し頭はぼーっとして気持ちがいい。こっそり寝室に入って、寝間着と化粧水、乳液をくすねる。出て行こうとすると布団がもぞもぞ動き、彼の「おかえり」と掠れた声がした。「ごめんね、起こしちゃった。ただいま。」と言って、顔を近づけた。リビングに戻ったら、急に体全身に疲れを感じて、履いていたズボンを下ろす。腰回りが一気に解放されて、上に来ていたシフォン生地のブラウスが太ももに触れて心地がいい。ソファーに寝転んで、携帯をいじりはじめるが、読んでるようで何も頭には入ってこなかった。ワインと体の疲れが混じり合い、ソファーに沈む重さに身を任せて、あぁシャワーに入りたいと思いながら、しばらく動けないでいた。そうだ、お味噌汁を飲もう。パンツのまま部屋をうろうろできることなんてそうそうない。少し悪いことをしている気分を楽しみながら、お湯を沸かす。インスタントのわかめお味噌汁の元をマグカップに入れて、ふつふつ湧いたお湯を流し入れる。スプーンでかき回して、ズーっと啜った。ワインが消えてく。疲れはどしりと重みを増す。あぁ早くシャワーに行きたい。そう思いながら、体はまたソファーに沈んでいく。