記憶

ふと、一瞬のうちに、恋が覚めていく瞬間を感じたことがある。その恋はきっと、夢のような幻想のような弾けてしまう風船のような落ち着きのないものだったのだろうと思う。大事に大事に育てた芽は、ゆっくり成長して、あぁでもないこうでもないと枝を伸ばしながら、根もしっかり張っていく。はずだ。私は、残酷かな、一緒に時間を過ごさないと、如何に大事な人でも忘れてしまう。忘れてしまう恐怖を思って電話したり、メッセージを送りあったりする。正直に言ってしまえば、ついこの間、あぁこの人とはいいお友達でいたらいいのだろうと確信を持ったのだった。そんな確信は前々からあったにせよ、心の底から、吹っ切れた。心というのは、曖昧で矛盾した混沌であって、時間をかけないとなかなかすっきりできないようになってる。都合よく、忘れたいことを忘れるようにはなっていなくて、思い出は甘い蜂蜜のようにいい香りがするし、思い出したくないことは波のように襲ってくることもある。それでも、すとんと納得いく瞬間を感じることもあり、それがまさに先日だったのだ。
本当に汚い自分の心は時々対処のしようがない。