知り合うこと

私は、自分を知ってもらおうとすることしか努力してこなかったから、今の人は革製品みたいに時間をかけて少しづつなじんでいけるように、相手を見るようにしている。

 

彼はしゃべらない。

一時は私の話が面白くないのかな、とか興味ないのかなとか思っていた。

きっと一部にはそんなこともあるんだろうけど、もともと彼はおしゃべりではないのだ。ということに気づいたのは、本当に時間が経ってからだった。そこに気づくのにこんなに時間がかかったことに驚いた。

 

私は、知り合おうとして自分のことを少しづつ見せようとしていた。

その甲斐もあって、驚くほど彼は私のことを分かっていることがある。

 

私が思う優しさと、受け取る側が感じる印象は同じでないと分かってから、

相手にとって何が必要なのかを考えるようになった。

こんなに誰もが知っているようなことを、私は彼と出会って学んだ。

彼は一人の時間、静かな朝ごはん、十分な睡眠が必要なんだ。

私は、しゃべる時間、一緒に過ごす時間、十分な睡眠が必要。

 

そのうち、ここは放っておくべきタイミングというのが分かってきた。

しゃべるけど、その時は放っておく。

私は、放置愛と名付けた。

 

彼は彼で、私が一緒に過ごす時間が欲しいことも理解して、

動いてくれている。

 

何かアクションを起こすというのだけが愛ではない。

そして、自分を殺すことも愛ではない。

 

そうやって、少しずつお互いに溶け合っていければいい。